雨のち晴れ

子育て・考えたことやたわいのない日常を綴った日記です

子供の騒音問題で悩んだ時期②~防音工事とVS世間

騒音問題で悩んでいた時、もちろん夫にも相談した。ここでの生活は無理だ。安心して生活できない。おじさんに殺されるかもしれないから早く引越したい。

折に触れて話したが、夫は、のらりくらりな対応で、引越しの話はいっこうに進まなかった。

ちなみにおじさんは、夫がいる時は床をドンドン叩いたり、怒鳴ってきたりする事はなかった。

その頃、なぜか機嫌の悪くなる夫の態度に違和感を感じてはいたが、それがモラハラとは知らなかった。私は一生懸命夫のご機嫌をとり、なんとか仲良くやっていこうとしていた。この件をしつこく言って夫の機嫌を損ねたくなかったし、当時はまだ一戸建てのマイホームを夢に見ていたので、引越しの話は慎重になった。

 そうこうしているうちに時は過ぎ、長男の小学校の入学が迫ってきてしまった。何としてでも転居したいと思っていたある夜、何かで話がこじれて、夫から“出ていけ"と家から追い出されてしまった。 私が契約していた部屋なのに出ていけとはおかしな話だと思ったが、らちがあかないので実家に身を寄せ、1時間かけて長男と次男を幼稚園に送迎した。

追い出された事でふっ切れた。夫に頼らず、離婚覚悟で安心して暮らせる場所を探そう。(結局、仲直りしてしまい、今に至る訳だが。)

3男を連れて引越し先を探し始めた。生活音が伝わりにくい住宅についても調べまくった。

集合住宅でも木造や軽量鉄骨は、音も振動も漏れやすいからダメ。鉄筋コンクリート造の集合住宅は音がもれにくいが、振動は伝わるので1階でなければダメ。木造平屋建ての昔ながらの長屋風の物件も見てみたが、古すぎてゲンナリだった。ここはと思う物件はオーナーから断られてしまった。

結局、賃貸物件ではなかなか見つからず、途方に暮れていた時、中古マンションの1階が売りに出されていた。もう、ここを逃したら見つからないと思い、即決した。既に会社を辞めている私にローンは組めないので現金を用意するしかない。今までの積み立て貯金と退職金を注ぎ込む事になり、貯金が無くなるのはかなり不安だが、他に選択肢はない。何よりも大切な事は、子供達が安心·安全で健康的で規則正しい生活を送れる場所の確保だと思った。

 入居時のリフォームの際、防音工事の出来る業者を探し、防音対策もした。大枚はたいてやっと引越ししたのに、今度は絶対に騒音問題なんかで苦労したくはなかった。 

マンションの防音工事について少し。私の場合は両隣に面した南側の2部屋と台所に壁防音と天井防音と床防音の工事をした。それにより、壁が10cm、天井は15cm狭くなる。フローリングはクッションがあるタイプを使用しなければならない。北側の2部屋は予算の関係でいじれなかった。このような最低限の生活防音工事だけで150万位かかる。

 現在、ここに住んで6年になるが、苦情を言われた事がないので満足している。よく、お隣や上の階の老夫婦に、うるさくないか聞くのだが、「窓を開けていれば聞こえるけど、静かだよ。なあんにも聞こえないよ。」と言われる。

ここに越してきてから、軌道修正しよう、育て直そう、楽しく生活しよう、と思って子育てをしてきた。今でも子育ての悩みは尽きないが、幼児期よりは、子供達との関係が良くなったと思う。

 

 子供を子供らしく育てる為に、住環境は大きく影響する。批判を承知で言おう。静かに生活したい方には申し訳ないが、私は間違っていた。騒音を気にするあまり、叱らないでよいところで叱ってしまった。大人の事情で親が勝手に追い詰められ、虐待まがいの事をした。

勿論、子供を静かにさせるのは躾のうちだ。親ならば、静かにするように言うだろう。でも、それで静かにしていられる子供もいるかもしれないが、静かにしていられない子もたくさんいる。そういう子は100回、200回同じ事を言い続け、何年もかかってやっと静かにしていられるようになる。

泣いてもすぐに泣き止む子もいるかもしれないが、気持ちの切り替えが下手で、ずーっと泣き止めない子もいる。

今、子供が思いっきり泣いてよい場所ってあるのかなと思う。

電車やバスで泣かせたら白い目で見られる。

道路で泣かせたら「あらあら、どうしたの~そんなに泣かせて。子育てはもっと上手になさい。」なんて知らないばぁばに言われる。

ニトリで泣かれて、どうにもならず泣かせておいたら、アベックの小綺麗なお姉さんに「しっかり子供みてあげてください!」と怒られた事もある。じゃあ、あんたがやってみろと腹わたが煮えくり返ったものだ。

ならば、せめて家の中くらい泣かせてもらえないだろうか。いいえ。それさえ息子は許されなかった。そうなるともう、行き場がない。仕方がないので、子供が泣き止まない時は、子供全員を車に乗せて近所をぐるぐる廻るしかなかった。

騒々しい子育て世帯はそれなりの所で住めばよい、と言う人もいる。そう主張する方は街から子供を締め出し、山の中にでも隔離すれば満足頂けるのだろうか。でも、簡単に理想的な環境に住みかえられる若い世代の親はどれだけいるだろう。

保育園も子供の声がうるさいから建てられない。公園で遊んでいてもうるさいと文句を言う人もいる。

実家近くの小学校は、近年、近隣住民のクレームにより、シーンと静まりかえった運動会をしている。創立70年を超える小学校だというのに。

 子供は泣くもの、騒々しいものだと開き直るつもりはない。でも、窮屈すぎる世の中は親をがんじがらめにし、子供の虐待へと追い詰めることもある。

かつて自分も子供だった。泣いて泣いて、泣いているうちになんで泣いているか忘れちゃう事もあった。騒ぎすぎて親に怒られた事もあった。

子供の泣き声がうるさい、親は何をやっているのかと責める前に、自分も昔は子供だったという事を思い出してほしい。泣いた事のない子供なんていやしないのだ。

 

もっと子供に寛容な社会であってほしいと願って止まない。